CFOメッセージ

取締役 常務執行役員
経営戦略グループ長、CFO
大塚 貴裕

当社グループでは2022年度から2024年度までの3年間を「コロナ禍を経ての再構築と成長への基礎構築期間」と位置付け、中期経営計画「共創140計画」を推進しております。
「共創140計画」の2年目である2023年度は、コロナ禍からの需要回復やインバウンドの増加などにより、数値目標として「共創140計画」最終年度(2024年度)に掲げている営業利益(受取配当金を含む)280億円および純有利子負債残高/EBITDA倍率7.5倍以下については、それぞれ1年前倒しで達成し、当期純利益については、過去最高益を更新することができました。

その一方、共創140計画に掲げる3つの事業戦略に沿って総額1,600億円の投資を計画していましたが、現状では約1,400億円となる見込みです。この要因はさまざまありますが、企図した投資が進んでいないため、純有利子負債残高/EBITDA倍率の目標を前倒しで達成できた側面があり、目標達成を手放しで喜べるものではありません。これらを踏まえ、2024年度は公共交通事業においてコロナ禍で抑制した安全更新投資を促進するとともに、北大阪トラックターミナルでの2期棟の建設工事、収益不動産の取得や沿線での不動産開発の推進など不動産事業の深化拡大に加えて、ツーリズム戦略や外国人共生など第3の事業育成に注力することで、「共創140計画」の基本的な考え方である「成長への基礎構築」に経営資源を投入すると同時に、「共創140計画」の営業利益目標280億円から15%引き上げた水準である営業利益322億円(受取配当金を含む)の達成に向けて取り組んでまいります。

株主還元に関しては、経営上の最重要課題の一つとして認識しています。当社は鉄道事業を中心とする公共性の高い業種であるため、長期にわたる安定的な経営基盤の確保と財務体質の強化に努めつつ、収益のさらなる向上を図ることにより、安定的な配当を行うことを基本方針としています。2023年度はコロナ禍からの順調な回復に加え、一時的ではあるものの資産売却益を計上したこともあり、最終利益で過去最高益を更新したことなどを踏まえ、一株当たり前期比で10円増となる1株35円(期末配当)の配当とさせていただきました。今後につきましては、従来の長期安定配当を基本としながら、資本の蓄積が進んでいる現状を考慮し、配当性向などの定量的な指標にも留意して検討していく段階に入っていると認識しています。業績や財務状況等を勘案しながら、株主の皆さまの期待に応えられるよう、最大限の努力をしていきます。


2024年7月