鉄道事業をはじめ各事業における安全の徹底

取り組み指針

安全・安心は当社グループにおける事業の根幹であることを踏まえ、安全投資の計画的遂行や安全教育・BCP訓練の実施など、ステークホルダーの期待に応える施策を講じることにより、お客さま満足度の向上に努めていきます。また、今後も激甚化が想定される自然災害への対応を計画的に進めていきます。

 

鉄道事業をはじめ各事業における安全の徹底

鉄道事業における安全マネジメント

安全方針を制定し、安全を最優先とした事業活動体制を整備

2006年10月1日に「安全方針」を制定(2009年6月26日改正)し、安全最優先を原則として事業活動を行う体制の整備に努めています。また、鉄道施設、車両、社員などを総合的に活用して輸送の安全確保に努めています。

安全方針


1.安全最優先を原則とし、協力一致して事故の防止に努めます。
2.輸送の安全に関する法令、規程を遵守し、厳正、忠実に職務を遂行します。
3.作業にあたり、必要な確認を励行し、最も安全と思われる取扱いを実行します。
4.事故・災害が発生したときは、人命救助を最優先に考え行動し、すみやかに安全適切な処置をとります。
5.安全管理体制を適正に運用し、不断の改善に努めます。

社長をトップとする安全管理体制を構築

当社は、定期的に開催される安全推進委員会(委員長:社長)と月1回開催の安全推進実行委員会(委員長:安全統括管理者)を中心に、企業全体への「安全最優先の浸透」「安全文化の醸成」を図っています。安全推進委員会には、経営戦略・財務戦略・総務人事の経営管理部門の責任者も参画しています。

 

社長は安全管理体制の最高責任者として、安全統括管理者に鉄道営業本部長を、運転管理者に運輸車両部長を選任し、関係する各部門の責任者の役割を明確化して、安全管理体制を構築しています。

 

安全・安心の徹底を担う専任部署としては「安全推進部」を設置しています。安全推進部は、安全管理体制の適正な運用と改善に関する事項を統括するとともに、関係部署と調整して輸送の安全性・安定度向上のために必要な施策を組織横断的に推進しています。

 

委員会組織

安全管理方法

安全推進委員会の構成

運輸安全マネジメント評価

運輸安全マネジメント評価は、国土交通省の大臣官房運輸安全監理官付運輸安全調査官や地方運輸局などの評価担当官が、当社の安全管理体制について経営トップや安全統括管理者、運転管理者などの経営管理部門の責任者にヒアリングなどを行い、安全管理の状況を確認するものです。


2021年9月に第8回運輸安全マネジメント評価が実施され、指摘事項はありませんでした。2022年度は運輸安全マネジメント評価は実施されませんでした。

安全重点施策

輸送の安全確保に向けた課題を解決するため、2022年度の安全重点施策として下記の5項目を定めて取り組んでいます。


また、安全管理体制にて、安全重点施策の実施状況や安全内部監査の結果などを踏まえて、マネジメントレビューを実施しました。

2023年度の安全重点施策


1.高まる自然災害リスクの軽減、防犯対策の強化
2.施設改善(社会的な要請も含む)による重大事故防止、駅ホーム、踏切の安全性向上
3.車両および設備更新、改善による保安度向上
4.デジタル技術を活用した安全設備システムの導入推進
5.安全を支える人財の育成と技術継承
6.ヒューマンエラーの防止

安全への投資

安全対策への設備投資を継続的に実施

必要な安全対策を滞りなく計画的に実施するための設備投資を継続的に実施しています。

今後発生することが予測される大規模地震に備えた高架橋柱や駅舎の耐震補強工事、また、駅ホーム上の安全性向上のための施策実施や老朽設備を更新しました。2023年度も引き続き安全施策を計画的に推進するための投資を実施していきます。

 

2022年度の主な設備投資

    高架橋柱の耐震補強(110本)

    連続立体交差事業

    防災対策(高野線紀ノ川橋梁洗掘対策他)

    8300系車両の新造(高野線6両)

    9000系車両リニューアル工事(南海線6両)

    電路設備取替

    ホーム照明設備更新(隧道照明設備含む)

安全に対する投資額

鉄道運転事故・輸送障害・インシデントの発生状況

2022年度の発生状況・行政指導など

鉄道事業における有責事故※1ゼロというKPIに対し2022年度、重大事故(衝突・脱線・火災)は発生しませんでした。
鉄道物損事故(車庫内支障)※2、輸送障害(鋼索線非常停止)の2件が発生しました。

※1 自社に責任のある鉄道運転事故、輸送障害(3時間以上の遅延または運休に限る)、インシデント等によるもの
※2 近畿運輸局に報告、当社への行政指導なし

5年間の事故の件数

<参考>鉄道運転事故などの分類

鉄道運転事故

重大事故

列車衝突事故

列車が他の列車もしくは車両と衝突、または接触した事故

列車脱線事故

列車が脱線した事故

列車火災事故

列車に火災が生じた事故

踏切障害事故

踏切道において、列車もしくは車両が道路を通行する人
もしくは車両などと衝突、または接触した事故

     

鉄道人身障害事故

列車または車両の運転により人の死傷を生じた事故
(上記の事故に伴うものを除く)

鉄道物損事故

列車または車両の運転により五百万円以上の物損を生じた事故
(上記の事故に伴うものを除く)

輸送障害

鉄道運転事故以外で列車に運休や遅れ(30分以上)が発生した事態

インシデント

事故には至っていないが、鉄道運転事故が

発生するおそれがあると認められる事態

 

安全教育の実施

「事故復旧総合訓練」を毎年実施

大規模な事故や災害が発生したと想定し、負傷者の救助、お客さまの避難誘導、損害箇所の復旧作業など鉄道事業本部全部門が参加する「事故復旧総合訓練」を毎年行っています。

2022年度は、「緊急地震速報システムの指示により停止した列車が、地震の揺れにより脱線、車両からお客さまを最寄り駅に避難誘導および損傷した設備の復旧作業を行う」という想定で実施しました。

訓練場所を複数設定し、情報収集、連携についても確認しました。また、避難誘導訓練では、鉄道部門以外からも参加するなど全社的な訓練としました。

線路設備の復旧作業

警察などと連携し、鉄道テロに備える合同訓練を実施

車内傷害事件に備え警察と連携して防犯対応訓練を実施しました。

警察との連携強化、連絡通報体制、お客さまの避難誘導方法、防護品の活用方法を訓練で確認しました。また、技術部門についても対応力向上を目的とした防犯対応講習を警察の協力を得て実施しました。

このほか、トンネルからの避難誘導訓練や水害に対する車両避難訓練などさまざまな事案を想定した訓練を実施しました。