多様な人財と多様な専門性の向上
基本的な考え方
多様な価値観や経験・能力を持った人財の確保や、多様な人財が活躍できる場を広げる取り組みを行っています。
また、一人ひとりの個性と志向を活かしながら、事業特性や役割に応じた専門性の向上に取り組んでいます。
多様な人財の確保と活躍促進
女性活躍推進
当社グループでは、多様な人財の活躍推進の一つとして、女性活躍推進に取り組んでいます。
当社では、2021年4月に策定した「女性の活躍推進に向けての行動計画」において、マネジメントコース(マネージャーおよび経営人財としての活躍を目指すキャリアコース)の新卒採用者に占める女性比率を2026年度時点で40%以上を維持することを目指しています。
採用時における女性向けの広報活動を積極的に行い、母集団の拡充を促進しています。また、本社部門およびグループ会社で働く女性社員を対象に、悩みなどを共有・解決するための場として、女性管理職などをファシリテーター役とした「南海女子の本音トーク」を実施するなど多様なライフステージの人財がより一層活躍できる環境づくりに力を入れています。

また、鉄道現業部門では駅係員・車掌・運転士・助役・車両・電気・工務係など多様な職種への女性の配置とともに、女性用宿泊施設の整備などを進めています。採用活動時にこれらをPRし、あらゆる領域・役割への配置・登用を推進しています 。
これらの取り組みを通じて、女性社員の役員・管理職への登用実績が評価され、2020年度以降当社の女性役員・管理職3名が「活躍する女性リーダー表彰」を受賞しています。
「女性の活躍推進に向けての行動計画」(2021年4月改定)
1.計画期間
2021年4月1日 ~ 2026年3月31日
2.目標と取組内容・実施時期
目標1(職業生活に関する機会の提供に関する目標)
マネジメントコース(マネージャーおよび経営人財としての活躍を目指すキャリアコース)の新卒採用者に占める女性比率を継続して4割以上とし、女性社員の活躍の場をさらに拡げて計画的に育成する。
<実施時期・取組内容>
2021年4月~ 媒体・説明会等における女性社員からの働きかけの強化
2021年4月~ 女性未配置または少数配置の部門等への女性配置の推進
2021年4月~ 育児等を行う社員をサポートする就労条件の継続的な見直しの検討・実施
目標2(職業生活と家庭生活との両立に関する目標)
年次有給休暇の計画的な取得を推進し、計画期間中の全社員における年次有給休暇取得率90%超を維持する。
<実施時期・取組内容>
2021年4月~ 年次有給休暇取得状況の継続的な確認と必要に応じた取得の啓発
2021年4月~ 各種休暇取得制度の再周知
女性管理職者・比率※

2021年度までの定義:管理職は監督もしくは管理の地位にあるもので、労働時間等に関する規定の制限を受けない者
2022年度以降の定義:「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある労働者の合計
女性社員数・比率

女性社員採用者数・比率

大阪商工会議所より「活躍する女性リーダー表彰」(愛称:ブルーローズ表彰)受賞

まちづくりグループ
まちづくり共創本部長
桐山 朋子
素晴らしい賞をいただき、大変光栄です。私の経歴は決して華やかなものではなく、悩みながら、挫折しながら築き上げてきたものであり、同時に多くの社内外の人に支え助けられてきたキャリアでもあります。だからこそ、当社グループの女性社員たちにも、ライフイベントによる変化で悩みや不安が生じたときは、一人で抱え込まずに周囲の協力や支えを受け取って欲しいと思います。そして、今回の受賞でご縁ができたさまざまな業種・職種の方々とのネットワークを通じて、女性の活躍領域が拡大され、自分のライフプランに合ったロールモデル発見につながることを期待します。
また、女性の活躍領域拡大として、多様な人財が自分らしく働き、一人ひとりが働きがいと成長を実感できるような職場環境づくりにも、今後チャレンジしていきたいと思います。個々の持ち味・能力が発揮できれば、全ての人が輝き非常に強力な組織体になると信じて疑いません。
多様な人財の確保
当社グループでは、年齢や性別だけではなく、国籍や職歴、キャリア志向、ライフステージなども含めた多様性のある人財確保に取り組んでいます。
専門人財の確保
事業変革の原動力となる専門人財を確保するためキャリア採用を積極的に実施しており、2023年度の正規雇用労働者の中途採用比率は50%(中途採用には正規雇用転換者を含む)と高い水準となっております。
外国人財の活躍の場を広げる取り組み
各事業のビジネスモデル変革や「未来探索」に取り組む部門を中心に、幅広い部門において多様な経歴・スキル・価値観をもった人財が多数活躍しています。
当社では、中期経営計画「共創140計画」に掲げる新たな事業の柱の創造、特にツーリズム関連事業の強化に向けけ、2023年度には、外国人財を管理職として採用しています。
当社グループにおいても、(株)南海国際旅行ではツーリズム関連事業の強化を目的として、南海システムソリューションズ(株)では海外のIT人財の活用を目的として、外国人財の活躍の機会を増やしています。これらの取り組みを通して、2023年度の外国人財の雇用者数は50人となっています。
LGBTQに関する取り組み
社会全体での多様化が進んでいることから、南海グリーフサポート(株)では、LGBTQフレンドリーの取り組みとして慶弔や休暇、各種給付金などの社内制度を利用を法律婚のパートナー同様に同性パートナーの場合にも取得できるようにしています。この一連の取り組みが評価され、(一社)work with Pride が制定する、企業のLGBTQに関する取り組みの評価指標にて、最上位の「ゴールド」を受賞しました。
高齢者が活躍できる環境を整備
当社では2021年度より定年年齢を65歳まで段階的に引き上げ、60歳以降も活躍できる環境整備に取り組んでいます。定年退職後の再雇用制度についても引き続き実施しており、2024年3月末時点で、11人がさまざまな分野で活躍しています。法令に則するだけでなく、いわゆる「無年金期間」に対応した賃金水準引き上げの実施や、モチベーションの維持・向上に資する講習会の開催など、シニアライフの充実に向けたサポートにも取り組んでいます。
再雇用者数の推移(南海電鉄単体)

社会的責務として障がい者雇用を促進
2023年度の当社および関係会社特例認定を取得したグループ7社を含めた障がい者雇用率は、2.74%でした。特例子会社である(株)南海ハートフルサービスでは、2024年3月末時点で89人の障がい者を雇用しており、同社の従業員は当社施設をはじめとする各種施設の清掃業務や郵便物仕分け業務などに従事しています。日々の情報交換やレクリエーションイベントの実施などによってコミュニケーションを図り、働きやすい職場環境の実現・維持に努めています。
障がい者雇用数の推移

適材適所の促進
当社グループでは、多様な価値観や経験・能力を持った人財の能力を引き出す取り組みを進めています。
当社では、社員一人ひとりが自らの志向や適性に基づいて将来の目指す姿を選択できるよう、キャリアコース転換の仕組みや異動希望本人・家族のライフ事情などを申告できるキャリア志向調査、鉄道現業部門からイノベーション推進部門への社内公募などの新たな取り組みを行っています。これらの取り組みを通じて、高いエンゲージメントをもって能力を発揮できる「適材適所」の実現を進めています。
さまざまな専門性向上への取り組み
当社グループは、経営的視点・スキルを持つ人財(経営人財)と、各事業に精通した専門性の高い人財(専門人財)の双方の確保・育成に取り組んでいます。
当社では、経営人財の育成として、ビジネススクールへの派遣を始めとした各種研修の実施やグループ内外の主要ポストへの登用を積極的に行っています。また専門人財の育成では、各事業・役職ごとに必要なスキル要件を設定し、それを昇格基準に設定するなど、人事制度への反映も行っています。より専門知識を高めるための支援として、資格取得援助金の上限引き上げ、奨励金対象資格の拡大・増額も2024年度に行いました。
また、専門人財の育成強化を狙いの一つとして、2023年度から「キャリアコース制」を導入しました。一般社員を「マネジメントコース」「エキスパートコース」「鉄道プロフェッショナルコース」の3コース制とし、各コースに応じた配置・育成方針に則って人財育成を推進しています。
経営戦略と連動したグループ全体の人財層については、「価値創造へとつなげる南海グループの人財戦略」をご覧ください。
コース区分 | 役割 |
---|---|
マネジメントコース | 多様なキャリアを重ねて事業の引き上げを担い、将来的な経営幹部を目指す |
エキスパートコース | 特定分野における専門人財として、既存業務の着実な遂行を担う |
鉄道プロフェッショナルコース | 鉄道事業における係員として、安全・安心な輸送サービスの提供を担う |
離職防止への取り組み

HR本部 人財戦略部
松田 和久
当社では、いきいきと長く働いてもらうために、若手層を中心とした離職防止に取り組んでいます。2022年度からは、鉄道現業部門の新入社員向けに、監督職を経験して、鉄道の知識や経験が豊富なベテラン社員との面談機会を設けています。また、新入社員の職場を巡回し、執務状況を確認しながら本人の心身の健康状態を観察して、適宜面談やフォローを実施しています。これらの活動により、鉄道現業部門の新入社員の離職率は活動前と比べ約1/2までに抑えることができています。