健康経営の推進および働きやすい職場環境づくり

基本的な考え方

お客さまに『安全・安心』を届け、沿線の豊かさを創造し続けるためには、従業員が心身ともに健康でなくてはならないという考えに基づき、さまざまな施策を実施しています。‘なんかいいね’ をより多くのお客さまに感じていただくとともに、社員一人ひとりが‘なんかいいね’と感じられる活力ある職場づくりを目指し、従業員の健康維持・増進を図っていきます。

健康宣言

南海グループは全社員の健康を保ち、多様な人財一人ひとりの能力を最大限に発揮できる環境づくりを経営上の最重要課題の一つと考え、当社では2022年6月に健康宣言を制定しました。同時に、健康経営の取り組みについて全社的かつ横断的に連携を図る健康経営推進委員会を発足させました。今後、現状の課題から具体的な目標を定め、その達成度をチェックし、確実な推進を図ります。

「健康宣言」策定について

南海電気鉄道株式会社では、「社会への貢献」を企業理念に掲げ、公共交通を基軸に様々な事業活動を展開してきました。今般、全社員の健康を保ち、多様な人財一人ひとりの能力を最大限に発揮できる環境づくりを経営上の最重要課題の一つと考え、健康宣言を策定いたしました。

健康宣言

南海電気鉄道株式会社は、公共交通を基軸とする企業として、お客さまに『安全・安心』を届け、沿線の豊かさを創造し続けることが使命です。この使命を全うするためには、社員が心身ともに健康でなくてはならないと考えます。‘なんかいいね’をより多くのお客さまに感じていただくとともに、社員一人ひとりが‘なんかいいね’と感じられる活力ある職場づくりに取り組みます。社員への健康維持・増進支援を通じて、当社がみらいを自ら切り拓く強い意志をもったサステナブルな企業として地域とともに成長していくことを宣言します。

2022年6月
南海電気鉄道株式会社
健康経営推進責任者
遠北光彦

健康経営推進委員会

人事担当役員を委員長とし、各部門の代表者・産業医・南海電気鉄道健康保険組合・人事部により構成される「健康経営推進委員会」を設置し、具体的な目標や施策の方針を決定しています。このような推進体制のもと、施策の効果検証を実施のうえ、適宜施策の見直しを行うなど、PDCAを回すことにより、健康経営の継続的改善を図っています。2022年度からは、「疾病の発生予防・ 疾病の高リスク者に対する重症化予防」を取り組み方針として定め、健康診断で有所見となった従業員に対し、健康診断の結果通知とともに産業医名で受診を促す書面を配布し、病院の受診率向上に努めています。

健康経営の推進

心身両面の健康保持増進対策を実施

当社では厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づき心身両面にわたる健康保持増進対策を実施しています。社員の健康状態の把握に関しては、事業場内産業保健スタッフを中心に、社内健康管理基準に沿った管理、保健指導、健康教育、健康相談を実施して疾病の早期発見と予防に努めています。

健康経営に関する指標(単体)
健康経営に関する指標 2020年度 2021年度 2022年度
定期健康診断受診率 100.0 100.0 100.0
高リスク者の管理率※1 74.3
ストレスチェック受検率 99.0 98.0 94.0
月間平均残業時間 時間 25.0 23.7 24.3
喫煙率 26.9 26.9 27.3
運動習慣者率※2 41.3 41.6 42.9

※1 受診勧奨者のうち病院で受診した者の割合
※2 日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施している者の割合

 

具体的な対策と成果

    メンタルヘルス対策としては、セルフケア(ストレスチェック)、ラインケア(管理監督者の研修会)、外部相談窓口の設置、指定精神科医によるカウンセリングなどを実施しています。さらに、メンタルヘルス不調による休職者の円滑な職場復帰を支援する制度として「リワーク・トライアル・プログラム(試し出社制度)」を導入し、2022年度は2人が復職しました。

    喫煙については、適宜、保健師が健康面に与える悪影響について社内で啓発しています。南海電気鉄道健康保険組合においても禁煙外来にかかる治療費を一部補助しています。

    人間ドックについては選択型福利厚生制度と南海電気鉄道健康保険組合の補助を併用した場合に、自己負担額なしで利用可能とすることで、疾病の早期発見につなげていきます。

    グループ会社の南海グリーフサポート㈱、南海不動産㈱、南海車両工業㈱、㈱南海エクスプレス、南海システムソリューションズ㈱、南海マネジメントサービス㈱の6社が、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)」に認定されました。

    メンタルに関する事項だけでなく、生活習慣病などの病気全般の健康指導を産業医や保健師が実施し、予防医療にも注力しています。

    健康経営推進委員会で従業員との意見交換を行い、健康維持・増進施策に反映しています。

    各食堂に意見箱を設置し、社員食堂の改善に従業員の声を反映させています。メニュー内容への要望などがあれば、協力会社へ連携し、意見を反映させたメニューを提供できるように努めています。

    社員が心身ともに良好な状態で業務を行うために、2023年11月に本社食堂のリニューアルを予定しています。食堂のメニューを通じて健康改善を図るとともに、食堂の空間を再編することで、集中力低下の防止・コミュニケーション活性化に資する空間とすることを目的としています。

    2023年10月から、産業医による長時間労働面接指導について、本社部門において法令を上回る対応として、直近3か月連続で60時間を超えた従業員に対象範囲を拡大し、面接指導を勧奨しています。今後、現業部門へ順次拡大していく予定です。

労働安全衛生

労働安全マネジメントシステム

従業員の福祉増進と事業の健全な発展に資するため、各職場の労働災害事故の防止と、保健衛生の向上を目的として、安全衛生委員会を設置しています。安全衛生委員会は、経営層や労働組合が参加する中央安全衛生委員会と従業員が参加する地区安全衛生委員会をもって組織しています。

 

中央安全衛生委員会は、各地区安全衛生委員会間の連絡を図り、会社全般にわたる安全衛生に関する事項を総合統括し、その促進を図ることを目指しています。グループ統括室長が委員長を、地区安全衛生委員長、産業医などが委員を務めています。中央安全衛生委員長の招集により随時開催し、総合的安全衛生管理に関する基本方針や年間目標の策定、地区安全衛生委員会から提出した議案に関する事項などを審議しています。労働災害事故に関しては、業界水準との比較を行い、保健衛生に関しても、社内の産業医や保健師の専門的な意見を反映させながら、改善に努めています。

 

地区安全衛生委員会は、中央安全衛生委員会の決定事項の具体的施策および各部の安全衛生に関する事項を審議するために設けています。地区安全衛生委員長は総括安全衛生管理者が務めています。委員長の招集により開催し、中央安全衛生委員会の指示事項やその地区における労働災害防止および保健衛生に関する事項、地区における作業心得などを審議しています。

 

「災害ゼロ」に向け、労働災害防止対策の実施および実績

業務災害は不安全行動によるものが大半を占めています。これを防止するため、エイジフレンドリー、危険予知、ヒヤリハット、リスクアセスメントなどの安全活動を行い、職場内のどこにどのような危険因子が存在するかを抽出し、対策を立て、危険に対する認識を職場全体で共有しています。業務災害のうち、第三者の行為によってもたらされる災害については、同業他社との情報交換や「第三者行為災害防止マニュアル」を活用して対策しています。2022年度の業務災害は14件※1でした。また鉄道部門の現業職場や不動産部門、本社部門へ「リスクアセスメント」を導入し、職場にあるさまざまな危険の芽(リスク)を見つけ出し数値化することでリスクの大きさを評価し、災害に至る前に対策(リスクの除去、低減)を施すことで、労働災害の減少を図っています。

 

2022年度は、82件のリスクアセスメントを実施しました。中には、すぐに対策を施せないものもありますが、リスクを認識し、すべてがリスクレベルA(許容可能なレベル)となるまで対策し続けます。このほか、全国安全週間の期間中に会社および労働組合の役員による職場安全パトロールを実施しています。職場を視察し、労働災害対策について報告・意見交換を行っています。

※1  うち第三者暴力行為災害5件

 

休業災害度数率 ※2 ※3

※2  休業災害度数率=労働災害(休業1日以上)による死傷者数 ÷ 延べ労働時間数 ×100万
※3  対象範囲は出向を除く、正社員(嘱託含む)及び契約社員

 

災害発生件数

労働災害実績(2022年度)

業務災害14件(自損9件 第三者暴力5件)

通勤災害2件

 

メンタルヘルス研修

2022年度

受講人数:47人

※対象者は管理監督者

 

安全衛生に関する研修

2023年度

受講人数:94人

※対象者は新入社員へ入社日に実施

働きやすい職場づくり

子育てや介護との両立を積極的に支援

当社グループでは、「育児・介護等を行う人財やシニア人財に、業界最高水準の働きやすい環境を提供すること」を中期的に目指す姿として設定しています。その取り組みの例として、当社では、育児休職制度や介護休職・休暇制度に加えて、2021年度から育児短時間勤務の利用可能期間を子どもが小学校5年生の始期に達するまでに延長し、2023年度からはベビーサポート休暇(男女問わず産後期間に取得できる最大10日の有給休暇)を導入するなど、仕事と家庭の両立支援を拡充しています。また、育児休職中の従業員には定期的な社内報の送付(2021年6月よりデジタル版を開始)や上司との面談などを実施し、スムーズな職場復帰をサポートしています。これらの結果、出産した女性社員の育児休職取得率および休職後の復職率は10年連続100%となっています。近年は男性社員の取得も増加傾向にあり、2022年度の男性社員の育児休業等・育児目的休暇取得率は90.6%と非常に高い水準となっています。これらの取り組みは、次世代育成支援対策推進法に則り一般事業主行動計画を策定のうえ実施したもので、2015年3月には厚生労働省の定める「子育てサポート企業」としての基準を満たし、「くるみんマーク」を取得しています。

育児休業等と育児目的休暇取得率(単体)

年次有給休暇取得の促進

計画年休制度の導入や半日単位での年休取得の促進などにより、年次有給休暇の取得率向上を図っています。当社の2022年度の年次有給休暇付与日数に対する取得率は96.9%と、厚生労働省発表の「就労条件総合調査」による一般的な取得率(58.3%)と比較して高い水準にあります。

年次有給休暇取得率(単体)

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
90.7% 92.6% 90.9% 90.1% 96.9%

ワークライフバランスの向上に向けた働き方改革の推進

従業員が働きやすい環境を整備し、働き方改革による生産性向上を推進するために、グループ共通のコラボレーションツールの導入を段階的に拡大しています。2022年度末時点で合計43社が導入し、2023年度も新たに10社が導入予定です。さらにクラウドストレージを導入することで、社内外の関係者との安全で効率的なデータ共有を可能にし、かつ働く場所の柔軟化を進めています。2022年度末時点で合計13社が導入し、2023年度も新たに6社が導入予定です。また、従業員が自身の業務都合や個人の事情に応じて柔軟に働くことのできる環境を整備するため、当社本社部門において2019年度からスライドワーク制度(始業時刻を選択できる制度)、さらに2022年度から在宅勤務制度を導入しています。鉄道現業部門では、エッセンシャルワーカーとして安全輸送を提供しつつ、労働時間の削減などを通じたワークライフバランス向上の取り組みを継続的に進めています。

 

活力ある職場づくり

「従業員エンゲージメント」の向上を推進

近年、従業員が企業に信頼度や貢献意欲を持っている状態を示す「従業員エンゲージメント」が日本でも注目されています。当社では、従業員がʻなんかいいねʼがあふれる職場を目指す社内活動として「なごみときめき活動」を実施しています。その一環として、従業員のモチベーション向上と従業員同士のコミュニケーション促進を目的にʻなんかいいねʼカードを導入しています。従業員間の褒め合う文化の醸成、ひいては業務の質的向上につながっており、2022年度は約9,600枚が活用されました。また、従業員の沿線に関する知識向上と当社沿線への誇りの醸成を目的に、従業員専用写真投稿サイト「沿線アンバサダー制度」を導入しています。2022年度末時点で400人以上の従業員が参加し、2022年度は約400件の投稿がありました。楽しみながら沿線への理解を深めるツールとして役立てられています。2022年度には、従業員の福利厚生ニーズの多様化を鑑み、付与されたポイントの範囲内で当社グループサービスを中心としたサービスを利用できる、選択型福利厚生制度(NICEプラン制度)を導入しました。今後も、従業員エンゲージメントの向上に努め、従業員がモチベーション高く仕事に取り組むことができるよう、継続的に制度の見直しを図っていきます。