DXによる業務効率化
コロナ禍の影響により全社でリモートワークへの対応が急務となり、全社的なDX が一気に前進した。2020(令和2)年6月には、電子稟議システムを導入し、その後もWeb 会議やチャットツール、クラウドストレージの導入が進んだ。これにより、部門や拠点を越えた情報共有がスムーズになり、意思決定のスピードも飛躍的に向上した。
2021年4月には、社内申請業務のさらなる電子化が進められ、経費精算や人事給与を除く各部門の申請業務がクラウド上で完結する仕組みが導入された。これにより、約1,000人規模の従業員が利用する申請業務において、紙書類や押印が不要になり、業務負荷の軽減と処理スピードの向上が実現した。
minapitaを活用したデジタル顧客接点の構築と新価値創造に向けて
2017(平成29)年4月1日、クレジットカード「ミナピタカード」と「パークス・シティカード」などのポイントサービスを統合し、南海グループ共通の「minapita(ミナピタ)ポイントサービス」を開始した。これにより、1ポイント=1円として、「なんばパークス」「なんばCITY」および難波駅の駅ナカ店舗などでのポイント払いが可能になるほか、minapitaギフト券やグループ会社商品、沿線特産品への交換などポイントの多彩な使い道を選ぶことが可能になった。
2022(令和4)年5月9日、なんばエリアの4つの商業施設における共通アプリ「NAMBAMARUTTO(なんばまるっと)」をリリースし、minapitaポイントサービスのデジタル会員証機能を盛り込み、カードレス化を推進するとともにデジタル顧客接点の強化を図った。
2023年11月1日には、minapitaポイントの魅力向上と、なんばのみならず当社沿線へのポイントサービス浸透および加盟店拡大を目的に、同サービスをリニューアルして「施設・エリア限定ポイント」を新設した。本ポイントでは、従来のポイントサービスに加え、地理的制限を設けた7種類のポイントを運用し、当社沿線施設に特化したキャンペーンを実施することが可能となった。なお、地理的制限を設けた限定ポイントも運用する点で、鉄道会社初(当社調べ)となるものであった。
こうしたデジタル顧客接点のさらなる構築を進め、鉄道・不動産・流通などあらゆる分野で得られるデータを横断的に活用し、minapitaを基盤とした顧客起点の新たな価値創造に取り組んでいく。
南海アプリ配信開始
2019(令和元)年12月、当社は列車の運行情報などを発信するスマートフォン向けアプリの配信を開始した。
2020年3月には、難波駅およびなんばCITY内の一部個室トイレの空き状況を確認できる「トイレ空き状況確認」機能と、電車内で円滑なコミュニケーションを支援する「席ゆずりあいアシスト」機能を新たに追加した。これらは、2018(平成30)年11月から約1年4か月にわたり、社内横断プロジェクトチーム(14名)が検討を重ねて実現したものであった。
また、2021年11月1日には、列車走行位置情報サービスに関して在阪鉄道事業者5社による連携を開始し、広域での情報提供が可能となった。
自動運転による社会課題への対応
近年、生産年齢人口減少による労働力不足が社会課題となっており、その対応策として鉄道の自動運転化が進められている。当社でも乗務員の確保が難しくなる中、既存設備を活用して導入することが可能であり、運転士以外の係員が先頭車両に乗務するGOA2.5自動運転の実現を目指し、2022(令和4)年7月から株式会社京三製作所と自動運転実証試験の準備を進めた。
2023年8月29日から和歌山港線における自動運転実証試験を開始し、安全性や安定性、異常時の取り扱いなどの試験結果を踏まえて、2025年3月に有識者からなるGOA2.5自動運転検討委員会による安全性などの評価を受けたことから、2027年度に高師浜線においてGOA2.5自動運転を開始することとした。
ドローン活用による鉄道設備点検の高度化
自動運転化に加え、ドローンを活用した鉄道設備点検の効率化・高度化として、橋りょうや駅舎、電柱などの高所といった、人が近づきにくい場所の点検を安全かつ効率的に行う取り組みを進めている。操縦者の養成や社内体制の整備を進め、2025(令和7)年4月時点で操縦資格保有者は60名を超え、8機のドローンを沿線事務所に配備している。
加えて、2018(平成30)年の台風21号では高野線山間部で倒木や土砂崩壊が広域にわたり発生し、線路や道路も通行できず、被害状況の把握に時間がかかったが、このような災害時に迅速に状況を把握するため、ドローンの遠隔操作による自動巡回の実現にも取り組んでいる。