経営の最近10年

2015~2017

泉北・関空・なんばを軸にした施策の追求

「深展133計画」の推進

2015(平成27)年に創業130周年を迎えた当社は、様々な記念事業を実施することでお客さまへの感謝の意を表すとともに、「泉北関連事業の強化」「関空・インバウンド事業の拡⼤」「なんばエリアの求⼼⼒向上」の3項目を基本方針(最重点項目)とする2015年度からの3か年中期経営計画「深展133計画」に沿った施策を積極的に推進した。

同計画を策定するにあたり、当社グループの普遍的なテーマである「安全・安心の徹底」「環境重視」「コンプライアンスの徹底」「顧客志向の追求」をグループ経営方針として位置付けた。

130周年記念で緑塗装した7000系と10000系
130周年記念で緑塗装した7000系と10000系

泉北関連事業の強化

泉北ニュータウンが広がる泉北高速鉄道沿線では、人口減少が続いており、特に若年層の地区外転出により、子育て世帯人口(20代から40代)も大きく減少傾向にあった。

同沿線の活性化のために、当社とグループ化した泉北高速鉄道とでは普通運賃で乗り継いだ場合の乗継割引額を100円に拡大し、通学定期運賃の泉北高速鉄道区間内の割引率を70%に拡大するなどの措置を実施。

また、2016年10月に堺市と「堺市内における泉北高速鉄道沿線活性化に向けた連携に関する協定書」を締結。締結後は「子育て世代の定住・誘導に関する取り組み」などについて協力体制を構築し、堺市と鉄道事業者が持つ資源やノウハウを最大限活用しながら泉北高速鉄道沿線の活性化に取り組むこととした。その第1の取り組みとして、通学のために当社と泉北高速鉄道を中百舌鳥駅経由で利用する堺市民に対する負担を軽減する制度が導入された。(2022年3月31日に終了)

また、泉北エリアと大阪市内との速達性、利便性向上に向けて、2015年12月5日のダイヤ改正に合わせて、和泉中央駅~難波駅間を最速29分で結ぶ特急「泉北ライナー」を導⼊したほか、泉北線直通の準急行の一部を区間急行に変更し、所要時間を短縮。さらにエリアの魅力向上に向けて泉ヶ丘ひろば専⾨店街およびパンジョのリニューアルに加え、北大阪流通センターの高度化を推進した。

関空・インバウンド事業の拡⼤

インバウンド旅客の増加に合わせ、空港急⾏の増発・⻑編成化や、早朝・深夜便の増発などで関空アクセスを強化するとともに、海外向け企画切符の造成と販売強化に取り組んだ。また、多⾔語案内の充実や、フリーWi-Fiの拡充、外国⼈専⽤窓⼝の増設などを実施するとともに、周辺領域の拡大を企図し、ホテル・ゲストハウスや、関空関連企業向け従業員寮の開発を推進した。

南海チケットインフォメーション
南海チケットインフォメーション

なんばエリアの求⼼⼒向上

南海会館ビル建替プロジェクトとして、なんばスカイオの建設を推進。さらに、なんばエリアのポテンシャル向上のため、なんばCITY・なんばパークスをリニューアルするとともに、なんばEKIKAN の第3期・第4期を開業した。また、2017年には新今宮駅前開発事業プロポーザル事業予定者に決定。新たなミナミの玄関口として期待が高まる新今宮エリアでの開発事業の重要な足掛かりとなった。

なんばEKIKANの第3期
なんばEKIKANの第3期

JCRによる格付け変更

同計画に基づき量的成長(収益拡大)と質的向上(財務健全性向上)の両面において事業基盤を一層強固なものとすべく着実に進める中で、2016(平成28)年10月には株式会社日本格付研究所(JCR)により、当社の長期発行体格付がBBB+ からA-へ、国内CP 格付がJ-2からJ-1へ変更された。これは当社が長・短期にかかわらず債務履行の確実性が高く、低下する可能性がないと判断されたことを意味しており、グループ経営基盤も着実に強化されてきたといえる。

なお、2024(令和6)年8月には、長期発行体格付はAに変更されている。

株式併合を実施

全国証券取引所の「売買単位の集約に向けた行動計画」に沿って、当社は2017(平成29)年3月の取締役会において、単元株式数を1,000株から100株に変更するとともに、当社株式につき、投資単位を適切な水準に調整することを目的として、株式併合を行うことを決議。同年6月に開催した第100期定時株主総会において承認可決され、同年10月1日をもって、9月30日の最終の株主名簿に記録された株主の所有株式数5株を1株に併合した。

なにわ筋線計画

なにわ筋線は、2023(令和5)年3月に開業した大阪駅(うめきたエリア)と、JR 難波駅および南海本線の新今宮駅をつなぐ新たな鉄道路線として、関西高速鉄道が鉄道施設を整備・保有し、JR 西日本および当社が鉄道施設を使用して旅客営業する計画である。なにわ筋線の整備によって、国土軸である新大阪や大阪都心部と大阪南部地域などの直結、関西国際空港へのアクセス強化、広域的な観光拠点間の交流の誘発などの効果が期待される。

2017(平成29)年5月には、なにわ筋線の整備に向けて5者(大阪府、大阪市、JR 西日本、南海電鉄、阪急電鉄)が、なにわ筋線の基本的な計画に対する合意を表明した。

2018年3月30日、当社とJR西日本は、なにわ筋線事業における関西高速鉄道への民間出資必要額330億円の全額を2者で負担することとした。

この金額は総事業費3,300億円のうち、2割の660億円を出資金とし、それを地方出資と民間出資で50%ずつ負担したものである。民間出資割合は、JR西日本が44% の145億円、当社は56%の185億円と決定した。

2019年7月10日、関西高速鉄道とJR西日本および当社は、国土交通大臣から、なにわ筋線に係る鉄道事業許可状を受領した。2020年8月に鉄道区域、2021年1月に道路区域の都市計画事業認可を、整備主体である関西高速鉄道が取得。用地測量や建物調査など用地取得・補償業務を進めるほか、2021年10月には(仮称)中之島駅部、(仮称)西本町駅部の工事に着手するとともに、(仮称)南海新難波駅部および湊町立坑部においても準備工事に着手するなど、開業に向けた取り組みを着実に進めている。

なにわ筋線に係る鉄道事業許可状を受領
なにわ筋線に係る鉄道事業許可状を受領

「深展133計画」の成果

基本方針である「泉北関連事業の強化」「関空・インバウンド事業の拡大」「なんばエリアの求心力向上」を中心に各施策を着実に進めたのに加え、訪日外国人旅行者の増加に伴って空港線の利用者数が拡大。この結果、「深展133計画」の当初の目標数値を達成し、2017(平成29)年度の連結営業利益は当初計画の300億円を超える339億円、連結有利子負債残高/ EBITDA 倍率は当初計画の8.8倍をクリアする7.69倍となった。しかし、その一方で、運輸業の収益構造変化への対応や、成長投資枠の投資実行、物流施設の高度化推進において課題を残す結果となった。