「2021年度経営計画」を発表
本来ならば3か年にわたる中期経営計画を策定・実行するところであったが、コロナ禍による財務基盤の悪化や、デジタル化の進展などの社会変化、行動変容による利用減少の継続により相当の収入減が見込まれたことから、単年度の「2021年度経営計画」を策定し、2021(令和3)年4月に発表した。
この方針においては、短期施策としてはコスト削減を中心とした事業構造改革を推進するとともに、中長期施策としてはこの危機を変革の契機と捉え、ポストコロナ時代のサービス提供や地域共創型のまちづくり、デジタル化の推進など、成長に向けた布石を打つことで、サステナブル経営につながる「持続的な企業価値の向上」と「持続可能な社会の実現」の両立を目指した。
2021年度の数値目標(連結ベース)は以下の通り掲げた。
- 営業利益※
- 150億円
- 純有利子負債残高
- 4,560億円
※営業利益+受取配当金
サステナビリティ経営の推進
2021(令和3)年4月30日、持続可能な社会の実現に向けた当社グループの姿勢を社内外のステークホルダーにより一層明確に示すため、「サステナビリティ方針」を公表した。また、同方針に基づき、SDGs の視点を取り入れ、事業活動を通じて社会課題の解決に継続的に取り組むため、長期的に取り組むべき重点施策として7つの「サステナブル重要テーマ(マテリアリティ)」を定めるとともに、「人口動態を転出超過から転入超過に逆転(2027年度)」などをKPIとして主な目標に掲げた。
さらに、取り組みにあたっては、サステナビリティ施策をグループ全社で横断的に推進する組織として「サステナビリティ推進委員会」を設置し、事業部門と連携しながら目標設定や進捗状況のモニタリング、達成度の評価を実施することとした。
2022年1月には、国内の鉄道会社としては初めての取り組みとして、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資である「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」に基づく融資契約を三井住友信託銀行株式会社との間で締結した。
また、2023年3月には、サステナブルな経営を進め、戦略投資を確実に実行するため、サステナビリティファイナンス・フレームワークを策定し、発行総額を100億円、発行年限を5年とする、サステナビリティボンドを発行した。
1.サステナビリティ方針
沿線エリアを中心に、地域住民・自治体・企業など、さまざまなステークホルダーと共創・協働し、企業理念の実践を通じて、「持続的な企業価値の向上」と「持続可能な社会の実現」の両立をめざします。
2.サステナブル重要テーマ(マテリアリティ)
- 安全・安心・満足のさらなる追求
- 賑わいと親しみのあるまちづくり
- 豊かな暮らしの実現
- 夢があふれる未来づくり
- 一人ひとりが幸せや充実・成長を実感できる環境づくり
- 地球環境保全への貢献
- 誠実で公正な企業基盤強化
- ※2025年4月見直し後の表現を記載
地球環境保全への貢献に向けた取り組み
当社は以前から「環境重視」をグループ経営方針の1つに掲げており、大阪府泉南郡岬町淡輪の当社所有地で「南海淡輪発電所」として2016(平成28)年10月14日から太陽光発電を開始するなど、環境にやさしい再生可能エネルギーの普及・拡大を進めていた。
2021(令和3)年6月1日からは鋼索線(ケーブルカー)、2024年4月1日からは特急ラピート全6編成で、関西電力株式会社の「再エネECO プラン」を適用することで、実質的に再生可能エネルギー100%での運行を実現した。
同年11月には、なんばパークスおよびなんばスカイオにおいて、当社グループとして初めて商業施設やオフィスのテナント分を含む施設の全使用電力を再生可能エネルギーに切り替え、カーボンフリー化を実現。導入する再生可能エネルギーは、当社所有地で開発を進めた和歌山県橋本市の南海小峰台太陽光発電所からの自己託送(当社グループとして初めての取り組み)による年間発電量約600万kWh の電力と、非化石証書(トラッキング付き)を活用した電力を併用した。
統合報告書の発行
2021(令和3)年9月、ステークホルダーに当社グループの持続的な成長や価値創造の道筋をより効果的に発信すべく、これまでのCSR 報告書などに代えて、財務情報に加えてESG などの非財務情報を盛り込んだ「南海グループ統合報告書2021」を発行した。当社の統合報告書は社外から高い評価を受けており、2023年2月には、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国内株式運用を委託している機関が選ぶ「改善度の高い統合報告書」に選定されたほか、日本経済新聞社主催「日経統合報告書アワード」では2022年・2023年と2年連続で「優秀賞」を獲得した。
監査等委員会設置会社への移行
コーポレート・ガバナンスの強化・充実は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のためには必要不可欠な取り組みである。
当社は、2021(令和3)年6月25日開催の第104期定時株主総会において、必要な定款変更などが承認され、「監査等委員会設置会社」に移行した。
これにより、監査を担う役員(社外役員を含む)に取締役会における議決権を付与し、取締役会の監督機能の強化および経営の透明性向上とともに、取締役会の業務執行決定権限の一部を取締役に委任し、業務執行の機動性のさらなる向上を図っている。
「2021年度経営計画」の成果
2021(令和3)年度は、組織のスリム化や外注費の削減などの事業構造改革により、27億円の恒常的な費用削減を実現させたが、当初想定していた以上にコロナ禍の影響を受け、数値目標について、純有利子負債残高は4,460億円(目標:4,560億円)となり達成したものの、営業利益は未達の121億9,000万円(目標:150億円)となった。