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沿線企業との共創で地域の魅力を伝える。オープンファクトリー

沿線企業との共創で地域の魅力を伝える。
オープンファクトリー

地域住民とともに、持続可能なコミュニティの場づくりを。大蓮公園

南海沿線の各地で広がる、地場産業の隠れた魅力の発信

料理人から愛される包丁や、伝統製法で作られる使い心地の良いタオル、ものづくりを支える工具や繊維製品――。南海沿線には、その地域の文化や伝統を大切にしながら、地場産業を発展させてきた企業がたくさんあります。しかし、製品を納める先は企業が多く、消費者と接点が少ないため、受け継がれてきた技術の素晴らしさや作り手の思いが、知られる機会はあまり多くありませんでした。

そんな中、地域の人々によって企画されたのが、オープンファクトリーです。オープンファクトリーとは、工場を一般公開し、見学やワークショップなどの体験をとおして地場産業の魅力を発信する取り組み。近年では、地域の中小企業が一体となって開催する「地域一体型オープンファクトリー」が増えています。

現在、南海沿線で開催されているオープンファクトリーは、600年の歴史を持つ刃物作りなど伝統産業から金属加工まで多種多様な見学ができる堺・高石・和泉などの「FactorISM(ファクトリズム)」、泉州タオルなどの地場産業はもちろん泉州の農業や寺内町の魅力にも触れられる「泉州オープンファクトリー」、ニットをはじめとする繊維製品や木工、漆芸などを体感できる「和歌山ものづくり文化祭」、ものづくりにこだわらず市内事業所の仕事の現場を見て、感じて、知ることのできる「ワークワクワク河内長野」の4つがあります。

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南海電鉄では、2019年から沿線で働く人を増やすプロジェクト「# BIZ TAG NANKAI」を立ち上げ、沿線企業の魅力を伝えてきました。このプロジェクトの一環として、2020年から沿線のオープンファクトリーとの共創をスタート。「地域をつなぐ橋渡し役となりたい」という思いで、2023年2月には地域間で情報交換できるよう4つのオープンファクトリーの主催者と参加企業を一堂に集めた交流会を開催するなど、積極的に支援しています。

交流会の様子

まちづくりに情熱を注ぐ沿線のリーダーと、地元企業がタッグを組む

オープンファクトリーの主役は、地域の主催者と参加企業。「泉州オープンファクトリー」の実行委員長を務める延生康二さんは、貝塚市内で金属加工や建設工事などの会社を経営し、オープンファクトリーに携わる前から同級生と一緒にまちづくりのイベントを開催するなど、地元を盛り上げたいと意欲的に活動していました。
延生さんと南海電鉄の出会いも延生さんのまちづくりへの熱い思いからはじまりました。延生さんの発案で貝塚駅前にある当社の旧技術事務所をコワーキングスペースにリノベーション。今では地元の人々が集う地域活性化の拠点となっています。

INTERVIEW

今ある資源を磨き、広域から足を運んでもらえるまちに

泉州オープンファクトリー実行委員長/延生 康二さん

貝塚駅前の建物をリノベーションする際、デザイナーや設計士の方にもご協力いただきました。その過程で彼らを私の経営する金属加工工場へ案内する機会があったのですが、製品の帯鉄を「デザイン性が高い」とインテリアとして採用していただいたのが新鮮な驚きでした。製造業はお客さまの声を直接聞く機会がありませんが、外部の方から新たな視点を得られると私たちにとってプラスになるに違いないとこのとき感じました。オープンファクトリーのお話をいただいたのは、ちょうどそのタイミング。これは他の企業にとっても成長につながりますし、やってみる価値があると思いました。

そして、参加企業を集めるために1社1社へ足を運びました。賛同してくれる企業は予想以上に多く、第一回は「貝塚オープンファクトリー」、第二回はエリアを広げて「泉州オープンファクトリー」として開催しました。南海電鉄にはSNSでの発信や駅のポスター掲示などプロモーション面を支援してもらい、広域から参加者を集めることができました。

オープンファクトリーは、開催当日はもちろん、自社の強みや魅力を知ることができる準備期間に重要な価値があると感じています。私が大切にしたいのは、今ある資源をきっちり把握し、それを磨いていくこと。これからも泉州らしさを磨き、広域から人が来てもらえるよう、まちづくりの一翼を担っていきたいと思います。

再生可能エネルギーで走る、高野山ケーブルカー
再生可能エネルギーで走る、高野山ケーブルカー

帯鉄で作ったトイレの案内サイン

INTERVIEW

2025年大阪・関西万博に向け、地域の人とともに盛り上げていきたい

南海電気鉄道株式会社/鬼頭 麦(左)、豊田 真菜(右)

オープンファクトリーへの協力を始めた2020年以降、沿線でオープンファクトリーに取り組む地域が徐々に増えてきました。これからもそれぞれの地域をつなげる橋渡し役を担い、地域間のコラボレーションが生まれるような環境を作っていきたいと考えています。また、オープンファクトリーによって働く人のモチベーションが高まり人材定着につながる、企業の魅力に触れることで人材獲得につながる、そのような結果の先に沿線で働く人が増える、そんな好循環を目指しています。

2025年には大阪・関西万博が開催され、世界中から人が訪れます。万博会場で先進技術に触れた後、南海沿線の地場産業の現場を見て回っていただけると、また別の視点でものづくりに触れられ楽しんでもらえるはず。このような思いで、地域の人とともに、オープンファクトリーを盛り上げていこうと考えています。

世界中の人々が南海沿線を訪れ、さまざまな地場産業に触れて、まちの魅力を知る――。こうした取り組みは、地域との連携があって実現します。これからも地域の皆さんと協力しながら、沿線を活性化していきます。

オープンファクトリーをきっかけに生まれる、人と人との交流

「和歌山ものづくり文化祭 シルクスクリーンでバッグ作りの体験をする様子」


「ワークワクワク河内長野 工場を見学する様子」

2023年2月に開催した地域間の交流会では、オープンファクトリーの主催者や参加企業からさまざまな成果が出てきているという声が寄せられました。

中でも沿線企業からの声で多かったのが、従業員の仕事に対する意識の変化でした。オープンファクトリーがきっかけで、従業員がいきいきと自分の言葉で自社の魅力を語り、よりいっそう自分たちの仕事に誇りを持って励むようになりました。オープンファクトリーは、地域の人はもちろん家族や友人など身近な人にも働く姿を見てもらえるため、従業員にとって良い刺激となっているのです。

また、これまでなかった沿線企業と若い世代の交流も生まれています。学校の帰り道にランドセルを背負った子どもたちが好奇心旺盛に見学してくれることもあれば、服飾専門学生が繊維製品のものづくりに触れたいと熱心に訪れることもあります。

南海沿線には魅力的な仕事があるのだと若い世代に伝えることは、沿線企業の将来の担い手を増やしていくことにもつながります。実際、ボランティアスタッフとしてオープンファクトリーに携わった学生が、そのとき出会った企業に就職するなど、採用につながるケースも出てきています。

南海沿線におけるオープンファクトリーへの取り組みは、まだ始まったばかり。これから回数を重ねていくことで、地元の人がまちの魅力を感じながら働き、地域外からも人が訪れるような好循環を生み出していくことが期待されます。

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