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お客さまが心から安心できる鉄道をめざして。事故復旧総合訓練で改めて向き合う私たちの使命

お客さまが心から安心できる鉄道をめざして。
事故復旧総合訓練で改めて向き合う私たちの使命

お客さまが心から安心できる鉄道をめざして。事故復旧総合訓練で改めて向き合う私たちの使命

南海電鉄では、大規模な事故や災害の発生を想定し、負傷者の救助やお客さまの避難誘導、各設備の復旧作業などを確認する「事故復旧総合訓練」を行っています。今回は、南海電鉄千代田工場をはじめとする計5箇所で総勢179名が参加した訓練の模様をお伝えします。




鉄道事業者としての使命を果たすために、定期的な訓練を実施

南海電鉄は毎日多くのお客さまにご利用いただいており、お客さまに「安全・安心」な輸送サービスを提供することは鉄道事業者としての最大の使命です。この使命を全うするために、必ず年に一度「事故復旧総合訓練」を実施します。
事故や自然災害は、いつ・どこで・どのような規模で発生するかわかりません。被害を最小限に抑える防災・減災・縮災を常に想定し、想定外を想定内に対応できるように日頃からの準備・体制づくりが重要と考え、定期的な安全への取り組み、見直しを行っています。「事故復旧総合訓練」はその一環です。  

一日の流れや心構えの確認から訓練をスタート

 
一日の流れや心構えの確認から訓練

今回の「事故復旧総合訓練」は、午前と午後にわけて「避難誘導訓練」と「設備復旧訓練」を実施しました。まずは全員で一日の想定や心構えなどを再確認し、安全への想いをひとつにしてから訓練を開始します。

第一部の「避難誘導訓練」は、高野線・紀見峠(きみとうげ)駅〜天見(あまみ)駅を走行中に、土砂崩れが発生したと仮定した訓練。先頭車が土砂に乗り上げて停車し、車内には怪我人や視覚障がいのある方、外国の方など、お手伝いを必要とする方を含め、様々なお客さまが乗車していることを想定したものです。

本番さながらの緊張感を持って、お客さま全員の安全確保に努める

本番さながらの緊張感を持って、お客さま全員の安全確保に努める

事故発生後は、実際の事故の場合と同じように、運転士が列車無線で輸送指令に通報を行い、列車防護を手配します。通報を受けた輸送指令がお客さまの安全確認や、列車の損傷状況を把握したのちに、本社対策本部を設置。すみやかに避難誘導の方法を検討して、現場でそれぞれが果たすべき役割を指示します。

 
本番さながらの緊張感を持って、お客さま全員の安全確保に努める

指示を受けた現場では、乗務員、駆けつけた駅係員、現場を巡回していた技術係員、また車内に同乗していた当社社員が協力して、避難誘導を実施。視覚に障がいのある方には、マニュアルに基づきながらも臨機応変に、座席シートを滑り台として降車方法を説明したり、外国の方には、ボディランゲージと翻訳機を併用して案内したりと、それぞれに応じた方法で誘導します。負傷者、あるいは車いすを利用している方には、複数人で救助にあたり、確実な救出かつ最優先の救助が行われました。


 
本番さながらの緊張感を持って、お客さま全員の安全確保に努める
 

安全な場所への避難を誘導し、無事全員の救助が完了したら、午前の「避難誘導訓練」が終了。訓練後すぐに参加者が集まり、本番さながらの対応を実践したからこその気づきを共有し、それぞれが訓練での学びを心に刻みました。

 
 

INTERVIEW

大阪南視覚支援学校 角田華子様

自然災害に備えて、視覚障がい者同士で情報を共有したり、もしもの時に備えて予備杖や食料、充電器などを持ち歩いたりしていますが、私たちには状況を把握し、適切な行動を選択することが難しい部分があります。今回のような「避難誘導訓練」は、自然災害が起きた時の行動想定ができ、不測の事態に動じない心構えを持つきっかけにもなりました。

「避難誘導訓練」では、事故発生から車内放送で逐一状況をアナウンスしてもらえたので、不安は最小限に抑えられました。その後も誘導にもとづいて、座席シートを滑り台として降りる際も丁寧に応対いただきました。滑り降りてからの駅までの誘導においても向かう先や段差の有無などを伝えてくれ、スムーズに避難することができました。

今回の訓練を通じて、南海電鉄が「安全・安心」に対する意識が非常に高いと思いました。交通弱者の中でも少数である視覚障がい者に積極的に歩み寄ってくださったことが、とても嬉しかったです。ただ、どうしても職員さんの手は限られてしまうので、職員さんに乗客の安全すべてをおまかせするのではなく、その場にいる皆で協力する意識を持つことが大切と感じました。駅構内で白杖をもつ人へのサポートを促すアナウンスが流れるようになってから、周囲の方に助けていただくことが増えました。南海電鉄には同じように、不測の事態が起きた際にも「みんなで避難行動を達成する」ことへの意識づけを期待しています。


 

第二部の「設備復旧訓練」は、高野線・小原田車庫を出発し、橋本駅の下り場内信号機手前にさしかかった時に地震が発生することを想定したもの。担当運転士は、緊急地震速報を受けてすぐに非常ブレーキ操作を行いましたが、先頭車の車輪が脱線して停車。回送列車のため、お客さまは乗車しておらず、運転士、車掌ともに負傷なしという想定です。

 
本番さながらの緊張感を持って、お客さま全員の安全確保に努める
 

事故発生後、運転士が列車無線で輸送指令に通報しますが、本社の通信機能は停止。こうしたケースに備え、衛星電話を使った連絡体制に切り替えます。本社対策本部から輸送指令経由で、現地対策本部の設置を指示。その後、対策本部は各部門に連絡し、各部門の担当者が連携して状況確認と復旧に取り組みます。

運転再開&安全運行に向けて各部が一丸となり任務に挑む

身を守るには対処法を知り、落ち着いて行動するのが大切  

車両部門のミッションは、ジャッキを使って脱線した車輪をレールの上に戻すこと。使用するジャッキは新調したため、万が一の機会に備えて、使い方や持ち上げる手順を念入りに確認します。それぞれが持ち場についた後、緊張感のある雰囲気の中、みんなで声をかけ合いながらジャッキアップを行いました。

身を守るには対処法を知り、落ち着いて行動するのが大切

脱線の影響により、電線を支えるための器具である吊架線吊碍子(ちょうかせんつりがいし)や曲線引装置なども破損。施設部の電力担当は作業車に乗り、それらすべての復旧にあたります。同時に、信号担当でも壊れてしまった信号保安装置の交換、取りつけを実施。工務担当は、脱線により線路外に崩れた砕石(線路に敷かれた砂利)の復旧と、その影響により水準変位(左右レールの高低差変位)が大きくなった線路の軌道修正を行います。すべての部門で復旧作業が完了し、送電を行えば、列車は無事に運転再開となります。そのほか、各駅の施設確認や高架工事区間の安全確認も併せて実施されました。

身を守るには対処法を知り、落ち着いて行動するのが大切

準備時間も含めると、8時間弱にもわたる訓練が閉会式をもって終了。安全・防災に対する意識の向上を実感するとともに、安全を最優先する組織として今後さらに検討すべき課題と向き合っていくことを誓い、事故復旧訓練は幕を閉じました。

INTERVIEW

南海電鉄 安全推進部 中村 美智明

「事故復旧総合訓練」は、毎年実施していますが、前回訓練の課題を活かしながら、最新機器の導入など、毎回アップデートしています。今回の訓練での新たな試みは、お客さま役として大阪南視覚支援学校の皆さまに参加していただいたこと。訓練後に実施したアンケートでは、案内・降車・誘導について、良好な評価を受けることができて、安堵しています。大阪南視覚支援学校の皆さまに訓練に参加していただけたことで、私たちも声かけや誘導方法など、新たな課題を見つけることもできたので、次回に活かしたいと思います。

また、本社の通信機能が停止し、衛星電話を使用した訓練もはじめての試みでした。やりとりをしてみると、場所によっては電波状態が悪く、通話が困難になることが確認でき、訓練の意味を大きく実感しました。

前回の訓練での課題については、概ね達成できました。今後も想定されるさまざまな状況に応じた訓練を実施したいと思います。

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