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地域住民とともに、持続可能なコミュニティの場づくりを。大蓮公園

地域住民とともに、持続可能なコミュニティの場づくりを。大蓮公園

地域住民とともに、持続可能なコミュニティの場づくりを。大蓮公園

大蓮公園再生プロジェクトとは?

集い、憩い、遊び、市民が活躍する「OUR HOME PARK(ふるさとの公園)」へ。

大阪府堺市の泉北ニュータウンに位置する大蓮公園。豊かな自然が広がる15万㎡もの園内では、マルシェに集う地元の人々や自転車のオフロードコースを楽しむファミリー、また夜にはキャンプサイトで焚火を囲んで語り合う若者たちなど、さまざまな人が思い思いのひと時を過ごしています。
この公園の象徴的な建物は、リノベーションされ、新しく生まれ変わった旧泉北すえむら資料館です。日本を代表する建築家槇文彦氏が手がけた建物で、大蓮池や園路と一体感を持つ外観に、スキップフロアというリズムに富んだ空間構成となっています。
館内には私設図書館をはじめ、カフェやルーフトップBBQなどがあり、多くの市民の憩いの場や活動の拠点として「人と人をつなぐ」役割を担っています。まさに市民が集い、憩い、遊び、それぞれが活躍できる場所です。

ここは泉北ニュータウンのまちびらき後に作られた公園で、周辺地域から出土された遺物を収蔵・展示するために泉北すえむら資料館が建てられました。古墳時代、国内最大の須恵器生産地だった大切な歴史を伝えていましたが、資料館は老朽化から、2016年に閉館、その後の取り壊しが計画されていました。
2020年8月、堺市、南海グループ公園管理団体が地域住民と一緒に大蓮公園の再生プロジェクトをスタートさせました。これは大阪府内では初となるPark-PFI(公募設置管理)制度を活用したものです。市民からの「資料館を残してほしい」という声に応えるために、資料館を含めた公園の賑わいづくりを行うことに。この取り組みにより、大蓮公園は大きく生まれ変わりました。

市民活動のための場づくり

私設図書館、カフェ、コミュニティスペース。
市民の思いがつながり、広がっていく場所へと再生。

旧泉北すえむら資料館はOHASU CENTERとしてリニューアル。南館のカフェの中には市民が運営する私設図書館があり、「おおはす図書部」が運営しています。若い学生から年配の方まで多くの人が談笑したり、興味のある本を手に取ったりしています。また、週末になれば館内や公園の芝生で絵本の読み聞かせイベントが開かれるなど、本を通じた人と人とのつながりが生み出されています。
また、北館にはレンタルスペースやレンタルキッチンがあるコミュニティスペース「space.SUEMURA」があり、お菓子づくり教室や草木染めのワークショップ、ヨガ教室など、市民の「やってみたい」が叶えられています。集まる人は、主婦やファミリー、若い女性グループなど、いつも館内には楽しげな声が響きわたり、地域コミュニティの中心の場へと新しく生まれ変わりました。

再生可能エネルギーで走る、高野山ケーブルカー
再生可能エネルギーで走る、高野山ケーブルカー
再生可能エネルギーで走る、高野山ケーブルカー

INTERVIEW

「本を通じて、人と人のつながりを生んでいきたい。」

おおはす図書部/三井 孝則さん

以前、泉北の公園や緑道を楽しむ市民活動に取り組み、地域の人がカフェやヨガなどの活動を通してつながっていくことが面白いと感じ、次は本を通じてそうした活動ができればと考えていました。
人の本棚をのぞくとその人の思いや考えに触れることができて親しみがわきます。それを実現したのが‘みんなの本棚’です。棚の一箱を市民に貸し出し自分の好きな本や紹介したい本を並べることができます。好きな本を発信することで、本を手に取ってもらうことはもちろん、本をきっかけに会話が生まれたり、自分も参加したいと思ってもらえたりすればうれしいです。現在、大学生から70代まで様々な方が参加して、なかにはSNSを見て市外から来てくれる人もいます。
こんな風に本を通じて人と人のつながりが生まれれば面白いと思いますし、「おおはす図書部」がそうした方の後押しになり、市民による活動がもっと増えていくことを願っています。

焙煎のコーヒーやハンドメイド雑貨など、
市民のしてみたいが集まる公園マルシェ。

公園入り口近くの「LIFE is PARK」では、市民が主体となって活動できるマルシェが週3〜4回開催されています。ここでは、自家焙煎のコーヒーや可愛らしいハンドメイド雑貨、焼き菓子など、個性豊かなブースが立ち並び、公園を訪れる人をお出迎えしています。
ブースはお店を開きたいという市民のチャレンジショップで、最近では毎週通う顔馴染みも増え、これまでになかったような地域の賑わいが育まれています。

INTERVIEW

「豊かな時間を過ごせる場所であり、市民がチャレンジできる場所へ。」

LIFE is PARK/岩藤 邦生さん

泉北に移住し、この公園を知って18年ほどになります。ここには豊かな自然も、広大な土地もあるのに、あまり活かされておらず、もったいないなと感じていました。
せっかくなので、公園に人が集まり、盛り上がるような活動がしたいという思いで、マルシェ活動を提案しました。現在では約80組もの出店登録者が集まり、例えばパン作りの得意な主婦の方が、子どもが学校に行っている間に出店するなど、市民のチャレンジの場となっています。
出店条件は、大蓮公園を豊かにすることに賛同できることで、その象徴のひとつとも言えるのがブース前にある特製の吉野杉のベンチ。マルシェでの売上の一部を使い、設置しました。こうした還元を通じて、この公園が豊かになればという気持ちです。
今後は、365日誰かがマルシェを出店しているような場所にしていきたいです。そうすれば、いつでも安心して公園に来ることができ、公園の掲げるスローガン「OUR HOME PARK」のように自分たちのふるさとの公園として、若い方や子どもたち、年配の方など、幅広い世代の人が集まれるような場所になると思います。

市民が主体となり、園内の遊び方を創出。
メンバー自作の自転車コース。

市民が公園を育てるユニークな取り組みのひとつが「デコボコバイクパーク」です。ここでは、自転車で起伏のあるコースを走るパンプトラックを誰でも無料で使うことができます。これは、市民が自作した力作で、子どもから大人まで、気軽に自由に遊べるコースづくりがされています。まさに、ここは市民が実現したいという思いをカタチにした場所です。マウンテンバイクに乗る大人はもちろんのこと、子どもも自分たちの自転車に乗り、時間を忘れて夢中になって楽しむ様子が伺えます。

INTERVIEW

「大人も子どもも、より自由に体験できる、自転車の新しい楽しみ方。」

デコボコバイクパーク/掛橋 駿さん(左)・光安 建都さん(右)

もともと、マウンテンバイクが好きで、海外にも足を運びました。海外では山のトレイル入り口や公園などにパンプトラックが設置されていて、大人が子どもたちにオフロードの楽しさを日常的に教えています。そうした光景を目にして、いつか自分でもマウンテンバイクの魅力を発信する場所をつくり、自分で楽しむことはもちろん、もっと多くの人や子どもにその魅力に触れてもらいたいと思っていました。
自転車の新しい楽しみ方の入り口として、目指したのは公園の遊具のような存在です。例えば滑り台では、子どもたちは滑ったり、登ったり、自由に遊びます。このパークも自由に、気軽に自転車で走ってもらい、マウンテンバイクやオフロードでの楽しみに気づいてもらえればうれしいです。

プロジェクト担当者の思い

市民の、市民による、市民のための公園へ。
プロジェクト活動はさらに広がり、進化しつづけていく。

INTERVIEW

「公園は地域住民のための場所。市民やコミュニティと共創し、取り組む。」

南海不動産株式会社/営業推進部 早坂 英信

建物の再生だけでなく、どうすれば地域の公園として人が訪れ、楽しく使ってもらえるかを考えることからこの再生プロジェクトはスタートしました。ここは、観光スポットにある公園ではありません。外から人を集めるのではなく、地域の人がよりよく使えることが本質だと考えています。
この地域には市民活動がいくつかあり、自分たちの街をこうしたいという人が集まっていました。そんな皆さんと一緒になって市民活動が続いていく土台づくりをすることで、大蓮公園が10年後、20年後、地域の若い人がこの場所を離れてもまた遊びに戻ってきたいと思える公園になることを願っています。

「活動はまだ始まったばかり。
もっと自由に、好きに遊べる公園へ。」

2020年にリニューアルしてから、幅広い層が来園し、賑わいを感じるようになりました。テント用具を運ぶ若者や自転車を持ってくるファミリーなどを目にすると、来園するきっかけになっているんだと思います。
地域の場づくりはできていると実感しつつも、活動はまだまだ始まったばかりです。次は周辺の自治会とも協力しながら何かできればと思いますし、市民団体やそのメンバーも増えていってほしいとも。
今、公園はボール遊び禁止など、子どもが遊べる空間ではなくなっている気がします。施設や遊具だけでなく、公園はもっと自由に遊んでいい場所のはずです。紙飛行機を飛ばしたり、段ボールで芝生を滑ったり、子どもたちが伸び伸びと遊べる空間になってほしいと思います。

グッドデザイン金賞受賞

2022グッドデザイン金賞受賞。公園だけでなく、
ニュータウン再生にもつながる可能性を秘めた取り組み。

大蓮公園の再生プロジェクトは、市民団体や市民が主体となり、様々な活動をする場としてデザインされた点が高く評価され、2022グッドデザイン金賞を獲得しています。審査コメントでは「公園再生に留まらず、子育て世代を呼び込むニュータウン再生にもつながっていく気配が感じられる」とも。地域コミュニティの活性や市民のつながりをもたらした取り組みは、未来のまちづくりのモデルケースになると言えるかもしれません。

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